株式会社 VC Cell Therapy

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裁定請求第1号(2021-1)「網膜色素上皮細胞の製造方法」の特許使用に関する裁定請求の和解成立のご報告

 髙橋 政代を代表取締役社長とする株式会社ビジョンケア及び株式会社VC Cell Therapy(以下、ビジョンケアおよびVC Cell Therapy)は、2021年7月13日、
経済産業大臣に対して、国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)、国立大学法人大阪大学(以下、大阪大学)及び株式会社ヘリオス(以下、ヘリオス)を相手方として、特許第6518878号に係る特許権(ヒトiPS細胞を始めとするヒト多能性幹細胞から網膜色素上皮細胞を分化誘導する方法を内容とする特許。以下、本件特許)について、ビジョンケア及びVC Cell Therapyに特許法93条2項[1]に基づく通常実施権を許諾する旨の裁定の請求(以下、本裁定請求)を申し立てました。

 その後、ビジョンケア及びVC Cell Therapyならびに相手方らは、本裁定請求に係る手続の実質的な審理機関である工業所有権審議会発明実施部会に対して、2年以上の期間にわたり、互いに自らの主張立証を重ねてきましたが、本裁定請求の当事者間において、ビジョンケア及びVC Cell Therapyが一定の条件の下で、本件特許を使用できることを主たる内容とする和解合意に至り、2024年5月30日に特許庁にて和解契約が締結したことをご報告いたします。
なお、今回の和解契約の成立をもって本裁定請求は取り下げといたしました。

 

1. 裁定請求第1号(2021-1)について

特許登録番号

裁定請求年月日

発明の名称

和解締結年月日

第6518878

2021年7月13日(令和3年7月13日)

網膜色素上皮細胞の製造方法

2024年5月30日(令和6年5月30日)

 

2. 和解の相手方

国立研究開発法人理化学研究所
国立大学法人大阪大学
株式会社ヘリオス及び住友ファーマ株式会社

 

3. 和解の内容

ビジョンケア及びVC Cell Therapyに対して、本裁定請求の対象のうち、RPE不全症(委縮型加齢黄斑変性および滲出型加齢黄斑変性の一部(RPE萎縮が大きく残るタイプ)を含む)を対象とした自由診療において、自家 iPS 細胞由来RPE細胞の製造、譲渡(本自由診療を行う医療機関に対するものに限る)、使用(前述の譲渡を受けた医療機関による使用を含む)について以下の条件において本件特許を実施できるものとする。

(1)使用は本特許の存続期間満了(2034年10月9日)までとする
(2)実施症例数30例までとする(但し実施上限に達した場合、症例数増加の申し入れ可)

※詳細は「和解契約書」ならびに「別紙1」をご覧ください。

 

4. 代表取締役社長 髙橋政代より

本和解成立は、おそらくは我が国で初めて、裁定申立の結果、特許権を有しなかった者に特許発明の使用が認められるに至ったことが広く公表可能となった事例であるという意味で大きな意義を持ち、産学連携が推進される昨今において同じ境遇に苦しむ発明者を勇気づけるものとして成果を上げられたと考えています。
本裁定請求を通して、我々が強く訴えてきた「公共性の高い特許発明については、それをより良く活用できる者による実施が認めらなければならない」という主張の正当性が、長きにわたる努力により実を結び、皆様にこのような形でお知らせるできることに喜びを感じ、改めまして、本和解のお相手方ならびに温かいご支援をくださった皆様に深く感謝申しあげます。

 

[1](公共の利益のための通常実施権の設定の裁定)

  1. 特許発明の実施が公共の利益のため特に必要であるときは、その特許発明の実施をしようとする者は、特許権者又は専用実施権者に対し
    通常実施権の許諾について協議を求めることができる。
  2. 前項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、経済産業大臣の裁定を請求することができる。

 

以上